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コスプレ衣装は自作じゃなきゃダメ?既製品衣装は悪なのか

他のコスプレイヤーさんのプロフィールを見てみた時に衣装が自作であることが強くアピールされていたり、twitterなどで「衣装は自作してこそコスプレ」なんて文言が流れて来たり……。

一部のコスプレイヤーさんの間では自作衣装こそが正義、という風潮があるように思えますが、既製品の衣装を着用することは悪なのでしょうか? 今回は、既製品衣装についての私の考えをまとめてみました。

コスプレ衣装は自作こそが正義なの?

色々なコスプレイヤーさんと話したり、アーカイブなどのSNSでコスプレについて色々見ていると、なんとなく「コスプレ衣装を自作している人は偉い」という空気を感じませんか?

確かに、洋裁のプロでもなんでもない人が、現実には存在しない形の服を作り出すにはとんでもない労力と時間が必要ですので「衣装の自作をしている人はすごい」というのは分かります。

しかし、すごいからといって「既製品レイヤーよりも自作レイヤーの方が偉い」ということにはならないと私は思います。

そもそも趣味でやっていることに偉い・偉くない、正義・悪があるはずがありませんよね。(もちろん人に迷惑をかけない楽しみ方をしていることは大前提です)

コスプレ衣装の自作を周りに強要している方にとってコスプレ衣装製作は「コスプレの中の楽しみの一つ」から「やらなければならないこと」に変わってしまったのだと思います。

確かに衣装製作はコスプレの醍醐味の一つですので、衣装を自作したらもっと楽しめるのに……という意見は分からない訳ではありません。

しかし、どうしても衣装製作が好きになれない方もいらっしゃいます。そういう場合は、周りに合わせて無理に衣装を自作しなくてもよいと思います。

コスプレには衣装製作以外の楽しみがあり、そちらの楽しみだけを味わうのは(勿体なくはあっても)決して悪いことではありませんよね。

さて、自分の周りにも同じ意見の人ばかりならよいですが、そうもいきません。意見の合わない方々とむやみに衝突しないためにも、なぜその方々が既製品衣装を嫌うのか考えてみましょう。

既製品のコスプレ衣装が一部の自作派レイヤーさんに嫌われている理由は?

現在、私の周りには既製品を毛嫌いしているコスプレイヤーさんがいないので、過去知り合った方やSNSなどで見かけた意見を元にした想像ではありますが、

  1. 衣装を自作しなければコスプレとは言えないと思っている
  2. 既製品で済ませるなんて作品やキャラクターに対する愛が感じられない
  3. 既製品衣装の全てが著作権違反の衣装だと思っている

以上のような理由で嫌われていることが多いのではないでしょうか。無用な争いを避けるためにもこのことについて掘り下げ、対処法を考えてみましょう。

①衣装を自作しなければコスプレではないという考え

数年前は既製品のコスプレ衣装などなく、コスプレをするなら自作か何万円もかけてオーダーをするかの二択しかありませんでした。ですので、コスプレ歴の長い方にとっては衣装の自作はコスプレの一部なのです。

そういった時代からずっとコスプレを愛している方にとって「衣装を自作しなくてもコスプレが出来る」という現状はどうしても馴染めないのかもしれません。

ジェネレーションギャップはそう簡単に埋められるものではありませんので、もしこういった考えの方に出会ったら「この人はそういう主義なんだ」と受け流すのが一番平和な対応だと思います。

②既製品衣装では作品やキャラクターに対する愛が感じられない?

「既製品の衣装では、作品やキャラクターに対する愛を感じられない」という方は一定数いらっしゃいますが、衣装を自作する以外にも愛情を表現する方法はいくらでもありますよね。

それはウィッグやメイクであったり、小道具であったり、手先が不器用でもの作り全般が苦手であっても撮影にこだわったりポージングが完璧であったり、ファンのあり方は様々です。

その人にとっては衣装製作こそが一番の愛情表現なのかもしれませんが、自分だけの基準・自分だけのものさしで「衣装を自作することこそが」と周りに押し付けるのはあまりにも視野が狭すぎます。

もし「自作じゃなきゃ愛がない」なんて言われた時は、心の中で「うるせえんだバカヤロウが」と思いつつ、黙って自分の方法で愛情表現をすればよいと思います。

③既製品衣装の全てが著作権侵害の衣装だと思っている

以前は公式ライセンスを取得した公式衣装というものが存在しなかったので、既製品衣装=著作権侵害の違法品というのが当たり前でした。

ご存じの通り今は出版社や原作者の方が認めている公式ライセンス衣装が多く作られていますが、完全な自作派でメーカーのサイトをそもそも見ないというレイヤーさんは公式衣装の存在を知らない可能性があります。

公式ライセンス商品を着用しているのであれば堂々としていれば問題ありません。もし周りに誤解をされているレイヤーさんがいらっしゃったら、さりげなく公式衣装だと言うことをお伝えしてみましょう。

もしあなたが著作権侵害の海賊版衣装を着用しているのであれば話は別です。今すぐ校舎裏に来て下さい。

以上、既製品が嫌われる理由について考えてみましたが「それでもなんとなく既製品衣装であることに対する後ろめたさが拭えない!」という方は、既製品コンプレックスを少しずつ解消していきましょう。

既製品コンプレックスとの上手な付き合い方

もしこれまで一度も衣装を自作したことがなくて、既製品衣装を着ていることがコンプレックスになってコスプレが楽しめないでいるのなら、まずは一度コスプレ衣装製作に挑戦してみましょう。

もちろん初めから難しい衣装を全て自作しなければいけない訳ではありません。シンプルな衣装のパンツだけ、シャツだけでも構いません。少しずつチャレンジしてみて下さい。

何度かチャレンジしてみてもどうしても衣装製作が好きになれない場合は、スッパリ諦めて既製品を活用する側に回りましょう。そして衣装製作以外の面でコスプレを楽しみましょう。

衣装製作が苦手でもお化粧が好きならメイクに、ヘアセットが好きならウィッグに、造形が得意なら小道具・大道具製作に特化すればよいのです。撮影技術だったり構図提案だったり、併せの企画に精を出すのもありです。

そうして衣装製作以外に何か得意分野を作れば自分に自信が持てるようになり、衣装が既製品だからといって自分を卑下することもなくなります。

趣味なのに楽しくないことを無理矢理続ける必要はありません。あるものを上手く活用して、楽しくない過程を軽減させるのは決して卑怯なことではありません。

それでも既製品衣装であることが気になるのであれば、既製品衣装の中の気に入らない一部のパーツを自分で作り直すのはいかがでしょうか。

少しでも手を加えればその衣装はその人だけのオリジナルになります。また、既にあるパーツをわざわざ作り直すということは衣装にこだわりがあるということです。それは誇るべきことだと思います。

まとめ

  • コスプレ衣装を自作=既製品を着るより偉い、という訳ではない
  • 自分の考えを周りに押し付ける人の言うことを必要以上に気にしない
  • 衣装製作が苦手ならそれ以外の部分でコスプレを楽しめばOK

以上、コスプレ衣装の自作と既製品について、私の考えをまとめてみました。

個人の考えですので、この記事の内容が正解という訳ではありません。この記事の全文に反対だという方ももちろんいらっしゃいますし、それは悪ではありません。

しかし、自分の考えを押し付けるのは良いことではありません。この記事に賛成の方も反対の方も、自分の意見と違う方と出会った時にはどうか相手を排除しようとしないで下さい。

もちろん無理に受け入れる必要はありません。排斥を試みたり攻撃をするのではなく、無理に受け入れもせず、ただ「そういう人なのだ」と受け流して下さい。

付き合うのが難しそうであれば距離を置けばよいのです。そうして自分にとって快適な環境を作って、それぞれがコスプレを楽しんで頂ければと思います。