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コスプレ衣装製作の模様の入れ方まとめ・おすすめペンや絵の具


コスプレ衣装を作っていると、どうしても布の一部に模様を入れなければならない事態に必ず行き当たります。

布に模様を入れる方法はtwitterで定期的に出回りますが、様々なやり方があってどの方法が自分に最適なのか、どのペンや絵具が一番よいのか迷ってしまいます。

そこで今回は、7つの模様入れの方法と、おすすめのペンや絵具などの模様入れアイテムをまとめて記事にしてみました。

  1. おすすめの模様入れの方法は?仕上がりイメージの違う7つの方法
    1. ①ペンで描く 一番手軽で簡単な方法
    2. ②チューリップで描く 簡単だけど立体感が出る
    3. ③絵の具で描く 色にこだわりたい方向け
    4. ④合皮を貼り付ける 大きな模様におすすめ
    5. ⑤マスキング+スプレー 布プリント風にしたい時はこれ
    6. ⑥刺繍 こだわりたい本格派の方へ
    7. ⑦アイロンプリント ワンポイント模様ならこれでOK
  2. いきなり模様を入れるのが心配は場合は下書きや印付けをしておこう
  3. 模様入れに失敗した!ごまかし方や修正・修復方法は?
    1. ペン・チューリップ・絵の具はすぐにティッシュで拭き取る
    2. 合皮を剥がしたボンド跡は濡らすと剥がしやすくなる
    3. スプレーは除光液や薄め液で落とせるけど注意が必要
    4. アイロンプリントはアイロンで加熱すれば剥がせるかも

おすすめの模様入れの方法は?仕上がりイメージの違う7つの方法

布の模様入れの手段、というと方法が限られてしまっているようなイメージがありますが、コスプレ衣装製作は洋裁ではなく工作なので色々な手段があります。

今回は、筆者が今まで試したことのある模様の入れ方を7つ、どんな特徴があるかも添えてご紹介していきたいと思います。

(筆者の経験をもとに記事を書いているため、環境や使用する道具・布の違いにより結果が異なる可能性があります。あくまで一例・参考としてご覧頂ければと思います)

①ペンで描く 一番手軽で簡単な方法

ペン一本だけでお手軽に、事前準備もなく模様が描けるため、最もメジャーな手段ではないでしょうか。

誰でも扱ったことのある道具ですので、普段絵を描かない方や工作が苦手な方でもチャレンジしやすい方法です。細い模様を描くのにおすすめです。

筆者のおすすめは、ゼブラのマッキー ペイントマーカーです。

ペンでの模様入れは合皮にピッタリです。綿にも描けますが、布によっては多少にじんでしまう可能性もあります。

また、色物の布の上に書くと布の色に影響を受けてしまいますのでご注意下さい。黒地でもしっかり発色する布とそうでない布があるので、描けたらラッキーくらいに思っておいた方がよいです。

↓布や造形物に使った時はこんな感じになります。


  • 合皮……◎
  • エナメル……?(試したことないです)
  • 白の綿……○(物によっては滲みます)
  • 色物の綿……△
  • 起毛素材……×

②チューリップで描く 簡単だけど立体感が出る

細い模様を立体的に描きたいという時にピッタリなのがチューリップという画材です。

絵具のような液をチューブから出して線を引くタイプの画材なのですが、塗るというより「布の上に液体が乗る」感じなので、布の色に影響を受けず発色します。

筆者は「刺繍風(=立体的)にラインを引きたいけれど、模様の量が多すぎて絶対刺繍したくない」という箇所に使用しています。

乾くのに1日程度かかるので、前日ギリギリ修羅場作業などでは使用できないのが難点です。

↓仕上がりの立体感はこんな感じです。(商品リンクで貼ったのは「チューリップメタリックス」で、以下画像は別シリーズ「チューリップグリッター」なのでご注意下さい)


ユザワヤで売っているのを見たことがありますが、取り扱っているお店が少ないのであまり探し回らず、行動範囲のお店をサラッと見てみてなければネット通販で購入してしまいましょう。

  • 合皮……◎
  • エナメル……?(試したことないです)
  • 綿……◎
  • 起毛素材……◎

③絵の具で描く 色にこだわりたい方向け

こまかい模様を描いたり、絶妙な色を使いたいなら絵の具がおすすめです。

絵の具は取り扱い色数が膨大なので色が選び放題ですし、気に入る色がない場合は絵の具を混ぜて自分の理想の色を作れるところも魅力です。

筆者は必要な時に必要な色だけ買うスタンスですが、よく模様を描く機会がある方や、混色が面倒な方はセットになっている絵の具を購入してしまうことをおすすめします。

絵の具で布に模様を描く際は、水で薄めず原液のまま塗るようにして下さい。

水で薄めてしまうと、布が水分を吸って色がにじんでしまったり、合皮だと水を弾いてしまい色が乗らなくなってしまいます。

原液のままだと塗りにくい……という場合は、水を一適ずつ足して調整してみて下さい。あくまで「ギリギリ塗れる」線を保ちましょう。「塗りやすい」までいくと水分過多です。

  • 合皮……△(物によっては剥がれると思います)
  • エナメル……?(試したことないですが剥がれる気が……)
  • 綿……◎
  • 起毛素材……○

④合皮を貼り付ける 大きな模様におすすめ

合皮の切り貼りでの柄入れは、単色の模様や塗り潰し範囲の広い模様にピッタリです。

貼り付けた後、フチをミシンでステッチすれば面に凹凸ができて安っぽさも拭えるため、「いかにも工作!な感じをなくしたい」という方は合皮貼り付け+ステッチでの柄入れがおすすめです。

ただし、合皮貼り付けでの模様入れは「衣装っぽさ」が出るため、リアルクローズ(普段着風の衣装)には向きませんのでご注意下さい。

筆者はいつもフチをステッチするため厚めの合皮を使用していますが、「ステッチしたくない」「立体感は欲しくない」「ファンタジー衣装なので不思議な力で模様を入れたい」という場合はミロワールエクラの切り貼りがおすすめです。

ただ、合皮でもミロワールエクラでも、この方法で難点なのが手間がかかってめちゃめちゃめんどくさいところです。

  1. 模様用の型紙作り
  2. 合皮に書き写す
  3. 合皮カット
  4. 土台の布の上に模様を再配置
  5. パーツ一つ一つにボンドを塗って貼る
  6. 必要に応じてフチをミシンステッチ

と、模様一つで5~6工程も発生するので、時間に余裕があって根気のある方じゃないと途中で気が狂うかノイローゼになります。経験談です。

筆者は合皮模様の仕上がりが一番好きなのでいつもこの方法でやっていますが、マジで本当に同じ模様を何度も何度も見て描いて組み立てることになるので本当に疲れます。でもおすすめです。お互いがんばりましょう。

  • 合皮……◎
  • エナメル……◎
  • 綿……◎
  • 起毛素材……◎

⑤マスキング+スプレー 布プリント風にしたい時はこれ

範囲が広くてディティールがこまかい単色の模様や、グラデーション模様におすすめです。マントにでかい昇り竜の模様を金→赤のグラデーションで入れなきゃいけない時とかですね。経験談です。

  1. 模様のデータ化
  2. マスキングシートに模様を印刷
  3. マスキングシートをカッターでカット(模様をくりぬく)
  4. 布にマスキングシートを貼る
  5. スプレー
  6. シートを剥がす

以上の順序で模様入れをします。こちらも合皮貼り同様、めちゃめちゃめんどくさいので頑張りましょう。模様が複雑であればあるほど正気を失っていきます。昇り竜とかね。

マスキングシートはインクジェット印刷に対応しているものを選びましょう。手描きで模様をシートに書く場合はなんでもいいです。私が使用したシートはこちら↓です。

A4に収まらない大きい模様を印刷する場合は(昇り竜とかね)、あらかじめ画像を分割して印刷し、布にステンシルシートを貼る時に上手く合体させましょう。

スプレーは布用のスプレーを使用しましょう。ラッカースプレーでも一応色は乗りますが、発色が悪かったり、耐久性が弱い可能性があります。

合皮やエナメルにスプレーをする場合は染めQがおすすめです。他のスプレーだと乾いた後にパリパリ剥がれてしまう可能性がありますが、染めQはかなり耐久性があります。

  • 合皮……◎(染めQ)
  • エナメル……◎(染めQ)
  • 綿……◎
  • 起毛素材……△(布の色が透けます)

⑥刺繍 こだわりたい本格派の方へ

絶対に何が何でもリアリティを追求したい侍の方におすすめです。刺繍での模様入れは他のどの手段もかすんで見えるほど仕上がりが最高です。

金銀糸やグラデーション糸を使用したり、ビーズやビジューを取り入れたりと表現の幅がバツグンに広がる上に高級感・リアリティが飛びぬけています。

ただしお察しの通りとんでもない時間と労力と金がかかりますので、コスプレというか「衣装再現」を楽しみたい方向けです。

筆者はコスプレ衣装製作で一度も刺繍をしたことがないので何も公開できる技術がありません。すみません。全然向いてなくて30分くらいで「しにて~~」と言い出してしまいました。

  • 合皮……×(針穴が残ります)
  • エナメル……×(針穴が残ります)
  • 綿……◎
  • 起毛素材……◎

⑦アイロンプリント ワンポイント模様ならこれでOK

Tシャツの胸元やキャップなどにワンポイントで模様入れをするなら、アイロンプリントでも充分です。

特にTシャツへの模様入れは、ペンや合皮だとコスプレ感が出てしまいますので、アイロンプリントで模様を貼り付けてしまった方が逆にリアリティが出ます。

アイロンプリント用のシートには「白地用(透明シート)」と「色物用(白シート)」がありますが、私は白い生地に使用する時も色物用のシートを使用することをおすすめします。

透明シートですと、印刷されたものも半透明なのでイマイチ発色がよくありませんでした。色物用の白シートであれば、白の上に印刷されるのでクッキリ発色してくれます。

  • 合皮……×
  • エナメル……×
  • 綿……◎
  • 起毛素材……×

以上、コスプレ衣装製作におすすめの、布への模様の入れ方を7つご紹介しました。

どんな仕上がりになるか・おすすめの布などの情報も載せてみましたが、自分にピッタリの方法は見つかりましたでしょうか。

「やり方は決められたけど、いざやろうとなるとちゃんとできるか心配……」そんな時は、あらかじめ土台となる布に下書きをしておけばOKです。

いきなり模様を入れるのが心配は場合は下書きや印付けをしておこう

どんなに絵を描くのに慣れている人でも、布に一発描きで模様を入れるのは勇気が要ります。

失敗して布をダメにしてしまうのを避けるためにも、下書きや模様のアタリをあらかじめ布に描いておくことをおすすめします。

下書きは布の表側に描くので、下書きは後々完全に消せるペンを使用しましょう。

消えるチャコペンには、時間経過で消えるものと水で消えるものがありますが、こちらのクロバーの水性チャコペンはどちらの性質も併せ持っているためおすすめです。

ただし、色の濃い布や起毛素材ではまったく歯が立たないので、そういった時はマチ針でアタリをつけておくのがおすすめです。

例えば三角形を描くとしたら、角の3点にマチ針を刺しておきます。星を書く時は凸5点と凹5点を……といった具合に、重要なポイントに針を指しておくとペンが迷子にならずに済みます。

模様そのものはフリーハンドで描けるけれどサイズを揃えたい、という場合は、収めたい枠(例えば5cm×5cmなど)をマスキングテープで作り、その囲いの中に模様が納まるように描けばOKです。

下書きをしておけば大幅なミスは避けられますが、それでもどうしても失敗してしまう時があるかもしれません。そういった時にどのように対処したらよいかも頭に入れておきましょう。

模様入れに失敗した!ごまかし方や修正・修復方法は?

サイズが微妙に違ってしまったり、模様自体が斜めになっていたり、描いたばかりの部分を触ってこすってしまったり……模様入れに失敗してしまう時はいつか来ます。

もし柄入れに失敗してしまっても、正しい対処をすればギリギリ修正可能かもしれません。いつかミスしてしまった時のために、補修方法を頭に入れておきましょう。

ペン・チューリップ・絵の具はすぐにティッシュで拭き取る

ペンやチューリップ、絵の具などの塗料系で柄入れをしていてすぐに間違いに気付いた時は、ティッシュで拭き取って被害を最小限にとどめましょう。

ペンや絵の具はティッシュでトントンと叩いて液体を吸い取りましょう。ティッシュに付いた塗料がまた布に付いて被害が広がらないように、こまめにティッシュは取り替えて下さい。

チューリップは乾く前であればヘラや爪でうまく液体をこそぎ取れます。直線で引いたものであればストローを活用するのもおすすめです。

さて、布に乗っかっていた塗料はこのように取りますが、合皮やエナメルならまだしも、通常の織っている布についた塗料はどうしても完全に落とすことはできません。

(残った塗料は除光液や食器用洗剤で落ちることもありますが、薄まったとしても色が広がる可能性が高いのでおすすめしません……)

筆者は、残ってしまった塗料の跡は、布の色と同じ色の絵の具を乗せてごまかしています。絵の具の原液をドライブラシで少しずつ乗せてできるだけ目立たないように処理しています。

なお、起毛素材にこの手段は取れないので、液体をこそぎとってまだ目立つようであれば潔く諦めるしかありません。

また、絵の具で色補正をできる場合も、どうしても絵の具と布の質感の違いは出てしまうので、広範囲に修正が必要な場合は潔くその部分のパーツを作り直してしまった方が早く、楽に、キレイに作ることができます。

合皮を剥がしたボンド跡は濡らすと剥がしやすくなる

一度合皮を貼ったものの、位置やパーツを間違えていた……となった時、気になるのが剥がした跡のボンド跡です。

使用したのが木工用ボンドであれば、水に濡らせば柔らかくなるので剥がしやすくなります。

GボンドはGボンド薄め液をボンド跡に塗布して少しずつ柔らかくしてみて下さい。

どうしても剥がしきれなかった場合は、ペンの時と同様に布と同じ色の絵の具を塗ってごまかすしかありません。

スプレーは除光液や薄め液で落とせるけど注意が必要

「模様とは全然違うところにスプレーをしてしまったから落としたい!」という場合は、洗濯用洗剤を染み込ませ、捨ててもいいタオルで布を挟んで叩いて下さい。(参考リンク:マービー公式サイト・落とし方B参照

完全に落とすことは難しいと思いますので、薄くなればラッキー程度に考えて実行して下さい。

「マスキングが甘くて、模様のすぐ横にスプレーがはみ出してしまった!」という場合は上記の方法は使えません。(落とさなくていいインクにまで影響するため)

この場合は残念ながら布と同じ色の絵の具を塗って補正するしかありません。あまりにも範囲が広い場合はそのパーツを作り直しましょう。

アイロンプリントはアイロンで加熱すれば剥がせるかも

アイロンプリントを剥がしたい場合は、アイロンプリント部分をアイロンで加熱すれば剥がしやすくなります。

プリント部分を温める時は、貼る時に使用したシートや当て布を当ててアイロンを乗せて下さい。

温めるだけでOKですので、貼る時のように圧を加える必要はありません。剥がしやすくなるまで少しずつ加熱時間を上げたり、温度を上げたりして慎重に行って下さい。

まとめ

  • ペン、絵の具、チューリップなどの画材系は細い線やこまかい模様におすすめ
  • 広い範囲に模様を入れる場合は合皮(大きめ模様)やスプレー(細かめ模様)がおすすめ
  • 刺繍はハイクオリティに仕上がるけれど、労力や時間・お金が非常にかかるので注意

以上、筆者が試したことのあるコスプレ衣装製作における模様の入れ方をまとめてみました。

どの方法も一長一短で、どれが一番! ということはありません。自分の作りたい衣装や、自分のスキルに合わせて方法を選択してみて下さい。

また、模様入れのやり方はこの7つだけという訳ではありませんので、自分で新しい方法を編み出して試してみるのももちろんアリです。

もし今後模様入れの方法に迷った時に、この記事を参考にしてみて頂けたら幸いです。