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コスプレ衣装製作での型紙改造のやり方は?超初心者向け講座


コスプレ衣装の自作をするにあたって、初心者がまずつまずくのが型紙作りではないでしょうか。

既製品の型紙をそのまま使えればよいのですが、そう上手くピッタリの型紙が手に入ることはなく、自分である程度の改造が必要になることがほとんどです。

しかしいきなり型紙の改造と言われても、初心者の内は何をどうすればよいか全く分かりませんよね。

そこで今回は、コスプレ衣装製作の超初心者の方向けにの型紙の改造の方法をまとめて記事にしてみました。

  1. 初心者でも簡単に型紙改造ができる方法・手順
    1. ①ベースとなる型紙を探す
    2. ②作りたい衣装とベースの型紙がどう違うのかを見極める
    3. ③変えたい場所に使用する別の型紙を探す
    4. ④二つの型紙をうまく合体させる
  2. コスプレ衣装用の型紙を改造する時の注意点
    1. 完成形に近い型紙をベースにするのが重要
    2. 初心者の内は横着せず、複数の型紙を用意して型紙を改造する
    3. 一つのパーツを改造したら、それと縫い合わせる別のパーツとの整合性にも注意
  3. 改造の参考にできる型紙・合体させたい型紙がない時は?

初心者でも簡単に型紙改造ができる方法は?

型紙改造をする際、初めの内は(お金と手間がかかりますが)、複数の型紙を使って改造をするのがおすすめです。

初心者の内は面倒でも、お金がかかっても、ちゃんと道具を揃えて丁寧に作業をして下さい。

ベースとなる一つの型紙だけを見て、自分の想像力だけを頼りに型紙を改造するのは慣れている人でなければできません。

初心者の内は、改造後にどんな形にしたいか=目標となる別の形の型紙も一緒に用意した方が簡単に改造ができます。

例えば、「パフスリーブ(ふっくらした袖)のワンピースが作りたいけれど、セットインスリーブ(ベーシックな袖)のワンピースの型紙しか見つからない……」という場合は、ベースとなるワンピースの型紙とは別に、参考用にパフスリーブのブラウスの型紙を用意します。

型紙は一つひとつ購入していくと面倒な上にコストが嵩むので、様々な型紙が付録としてついてくるコスプレ雑誌を購入してしまうのがおすすめです。

おすすめのコスプレ雑誌や自分に合った衣装製作本の選び方は、こちら↓の記事「衣装製作初心者におすすめのコスプレ衣装製作本や雑誌はどれ?」の項目でご紹介しております。


さて、型紙の入手方法が分かったところで、型紙改造の方法を確認していきましょう。

①ベースとなる型紙を探す

改造するためのベースとなる型紙は、個人的には同じ種類の服の型紙(ワンピース・ジャケットetc)で身頃のシルエットが近いものを選ぶのがおすすめです。

シルエットの調整は「思ったより変わらなかった」「予想より大幅に変わってしまった」が多発するので、既製品のバランスを活用するのが一番楽です。

また、別の形の衿からテーラードジャケットに改造するのはメチャクチャ面倒なので、衿がテーラードか否かだけは最優先で型紙を選んで下さい。

私個人としては、以下の順番で優先するのがよいと思います。

  1. テーラードカラーか否か
  2. 服の種類(ジャケット・ワンピース・シャツetc)
  3. 身頃のシルエット(タイト・ルーズ・フレアの量etc)
  4. 袖の形(セットイン・シャツ・パフ・ラグランetc)
  5. 衿(台襟付き・詰襟・ノーカラーetc)
  6. 裾の長さ

正直どの改造も面倒ではあるのですが、袖や衿などのディティールは別の型紙から写してしまえばOKなので優先度は低めにしました。

衿も袖もそこまで難易度に違いはないのですが、衿よりも袖の改造の方が調整範囲が広く、シルエットに影響するので優先順位を一つ上にしました。(人によっては袖よりも衿の改造の方が苦手かも?)

以上のポイントを念頭に置いてベースとなる型紙を決めたら、次は改造の下準備をしていきましょう。

②作りたい衣装とベースの型紙がどう違うのかを見極める

ベースにする型紙を決めたら、作りたい衣装とその型紙でできる衣装のどこが違うのかをよく観察しましょう。

一箇所違うだけなら分かりやすいですが、複数個所改造が必要な場合はチェック漏れがないよう、パーツごとに確認するのがおすすめです。

  • シルエット(ダーツ分量・フレア分量など)
  • ネックライン・衿の形
  • 肩幅
  • ボタンの数・ファスナー留まりの位置
  • 袖山の形・袖丈・袖口の広さ
  • 着丈・裾の形
  • 切り替え(パーツとパーツの繋ぎ目)の位置

など、慣れない内はチェックリストを作って一つひとつ見ていった方が確実です。

こんなことをチマチマやるのは面倒だという気持ちはとてもよく分かりますが、「まあいいや」で進めて布を切って縫って着たら全然違ったのでやり直し……となる方がよっぽど面倒なので頑張りましょう。

改造すべき点をメモした次は、改造の参考にするための追加型紙を探しましょう。

③変えたい場所に使用する別の型紙を探す

ベースにする型紙の改造点を書き出したら、参考にするために改造後の形に近い別の型紙を探しましょう。

参考にする型紙は、ベースにする型紙ほど細かくこだわらなくてOKです。

ただし、できればインナーかアウターかだけはベースの型紙と統一した方がよいです。

例えばブラウスの袖を改造するならば、ジャケットではなくシャツやワンピース、ドレスなどの袖を流用して下さい。

インナーとアウターではゆとり分(どの程度体に密着するか)が異なるため、ブラウスにジャケットの袖をくっつけると身頃に比べて袖だけやけに太い……という不恰好なシルエットになってしまいます。

個人的に「参考用の型紙を用意した方がいい」と思うディティール(パーツ)は、

  • フード
  • 形の違うスカート(フレア分量・ギャザー分量が大きく違う、マーメイドスカートなどの特殊なスカートなど)

などです。

丈の長さや切り替え(パーツ分割)は初心者の勘でやってもOKです。(メジャーを使って自分の体を参考に何センチいじればよいのか検討しながらがおすすめです)


例として、台襟付きシャツカラー・セットインスリーブ・タイトシルエットのブラウスの衿をオープンカラー・パフスリーブ・タイトシルエットのブラウスに変えたい場合は、

  1. オープンカラーのブラウスやシャツの型紙
  2. パフスリーブのワンピースやドレスの型紙

以上の2点の型紙を追加で用意するか、

  1. ベース型紙としてオープンカラー・タイトシルエットのブラウスの型紙を新たに探す
  2. 参考用にパフスリーブのワンピースやドレスの型紙を用意

以上の方法がおすすめです。

この時、参考にするのはそれぞれ衿と袖だけなので、インナーかアウターかが合っていれば参考にする型紙の全体のシルエットや関係ない箇所のデザインはどんなものでも構いません。


さて、参考にする型紙も用意することができたら、いざ二つの型紙を合体させてみましょう。

④二つの型紙をうまく合体させる

異なる型紙のパーツを合体させる時は、縫い合わせる箇所の長さを揃えるのが基本です。(その方が楽に縫えます)

(※型紙の改造をする時は、原本の型紙を改造するのではなく、別の紙に写したものを改造するようにして下さい)

袖を例に解説していきます。


例えば、身頃は型紙①のものを使用し、袖は型紙②のものを使用する場合は、

  1. 型紙①の身頃のアームホールの長さ
  2. 型紙②の袖の袖山(袖が筒状になった時、袖口ではないほう)の長さ

が同じになるように修正する必要があります。


ただし、パフスリーブ(袖山にギャザーを寄せる)にする場合はアームホールと同じ長さにしてはいけません。

袖山にどのくらいギャザーを寄せるのか決めて、ギャザーを寄せた後の袖山の長さとアームホールの長さを同じにしましょう。

ちなみに、長さを調節する際に袖山とアームホールの長さに大きな開きがある場合は、どちらに長さを揃えるべきなのかはその時々によって異なります。

  • パターン①袖山よりもアームホールの方が長い。袖の形は変えたくない→アームホールを縮める
  • パターン②袖山よりもアームホールの方が長い。アームホールは変えたくない→袖山を長くする
  • パターン③アームホールより袖山の方が長い。アームホールは変えたくない→袖山を縮める
  • パターン④アームホールより袖山の方が長い。袖の形は変えたくない→アームホールを長くする

以上のようになります。パターン①(アームホールを縮める)とパターン④(袖山を縮める)を図解してみましょう。


パターン②は③と逆のことを、パターン④は①と逆のことをすればOKです。

ちなみに、型紙Aのセットインスリーブ(ベーシックな袖)を、型紙Bを参考にラグランスリーブに変更する時など、明らかに袖も身頃も形が大きく変わる改造を施す時は上記の方法は通用しません。

「明らかにベースの身頃にこの袖はつかないな……」と思った時は、袖を持ってきた型紙Bの身頃のアームホールを、型紙Aに写しましょう。


その他の箇所を改造する場合は、

  • 衿:衿付け部分(身頃と縫う部分)と、身頃のネックライン(衿を付ける部分)
  • ワンピースのスカート:上半身のウエストラインと、スカート側のウエストライン

など、とにかく縫い合わせる線同士の長さを全て揃えてしまった方が初心者の内は楽です。

長さをどちらのパーツに揃えるかは、上記の袖の例を参考に、どちらの形を変えたくないか、両方変えるべきなのかを考えてみて下さいね。

「調節してみたけれど、これで本当に合っているのか不安……」という場合は、いらない布で試しに組み立ててみるのがおすすめです。

(「この型紙をこういう風に改造する時にどうするかを詳しく解説した記事が欲しい!」という場合はこちらからご連絡下さい)

さて、大まかではありますが以上が型紙改造の方法です。

次はもう少し掘り下げて、型紙改造の際の注意点を確認していきましょう。

コスプレ衣装用の型紙を改造する時の注意点

この項目では、前項で型紙改造の流れを確認して、「思ったより難しそう」と思った方にも「これならできそう」と思った方にも絶対に押さえておいて欲しいポイントをご紹介致します。

完成形に近い型紙をベースにするのが重要

当たり前ですが、ベースにする型紙はできるだけ完成形に近い形のものを使用するのが本当に大事です。

極端な話、別にウェディングドレスをベースに燕尾服の型紙に改造することだってできます。(ほとんどイチから作るようなものですが)

ですが、どうせ燕尾服を作るのならスーツをベースにした方が改造箇所が少なくて済みますよね。そもそも燕尾服の型紙だったら、探せば理想の形のものが既に存在する可能性だって大いにあります。

できるだけ楽に、早く、安く、低い難易度でコスプレ衣装を作るためにも、ベースの型紙は少し時間を割いてしっかり探してみて下さい。後が楽になります。

初心者の内は横着せず、複数の型紙を用意して型紙を改造する

前項でも書きましたが大事なことなのでしつこく主張しておきます。初心者の内は絶対に手間と金と時間を惜しんでショートカットを狙ってはいけません。

「ベースの型紙さえあればなんとなく改造できる気がする!」で本当にちゃんと改造できるのはある程度経験を積んだ人だけです。

ちゃんと参考用の型紙を用紙して、ベース型紙との整合性もチェックしてようやく型紙の完成です。初心者の「アームホールと袖山の長さ全然違うけど縫ってから調整しよう」はマジマジのマジで危ないです。

型紙がしっかりできていないのに強行突破して裁断まで行ってしまうと、後でやり直しになった時に布が足りなくなったり……と大惨事になりかねません。

初心者の内の失敗を避けるコツは、面倒くさくてお金がかかって手間もかかる方法で確実に衣装作りをすることです。

一つのパーツを改造したら、それと縫い合わせる別のパーツとの整合性にも注意

前項でご紹介したように、別の型紙から引っ張ってきたパーツを合体させるため、などの理由でベース型紙を改造する時は、その改造が回りのパーツに影響するかどうかをよく考えましょう。

例えば、肩幅を狭く改造するとアームホールの形が変わります。衿ぐりの広さを変えるなら衿にも修正が必要です。袖山を低くしたら、袖丈の調整も必要です。

一つのパーツを改造したら、周りのパーツを三つも四つも調整しなければならなくなる、ということもありえない話ではありません。

この作業、本当~~~~~に面倒で私も毎回イライラするのですが、この工程をスッ飛ばすと縫ってる最中にいきなり「このパーツとこのパーツ縫い合わせられねえな」と気付いて相当なやり直しを要求されたりします。

やり直しになるともうコスプレやめたろかというほどやる気がなくなるので、面倒な気持ちはよく分かりますが、どこか一箇所を改造した時は回りへの影響も一度チェックしてみて下さい。


以上、絶対に心に留めておいて欲しいポイントをご紹介しました。

さて、記事の初めから今までずっと「参考にする型紙をしっかり用意するように」と書いていますが、その「参考にしたい型紙」が見つけられなかった場合についても少し触れておきましょう。

改造の参考にできる型紙・合体させたい型紙がない時は?

「ベースの形はセーラー服っぽいけど、衿の形がファンタジー」「スカートの裾のラインが形状しがたい形をしている」など、コスプレ衣装製作では絶命ポイントがたくさんあります。

縫製素人の私たちが全うな方法でコスプレ衣装を作るのはムリです。諦めましょう。私たちにできるのは「衣装再現」ではなく「工作」です。

どーーーーーーーうしても型紙にできないパーツは、立体裁断風の工作でなんとかしてみましょう。

衿の形を工作する時を例に解説していきます。


まず身頃を上半身だけ仮布で作ってみます。そこに「全て想像で考えた大体こんな形になるだろうという衿の型紙」を布に書いて、縫い代をかなり多めに切って下さい。

実際に衿と身頃をピンでくっつけてみて下さい。その後トルソーに着せて形を見るのが一番ですが、トルソーがなく自分で着てみる場合は、ピン(針)に注意して下さいね。

一回目の組立の時点では恐らく衿は不自然な形になっているかと思います。

なぜ不自然なのかをよく観察してみて下さい。長さが足りないのなら布をピンででもなんでもくっつけて延長しましょう。衿付けにムリが生じているのなら、一旦衿付けピンを外して丁度いいポイントに留めなおして下さい。

そうやって少しずつ調整をしていくと、その内ある程度の妥協点が見えてきます。

「この形ならなんとかなりそう」というところまで来たら、ピンを留めてる位置に印を付けて、ピンを取った後、印を参考に型紙を修正したら完成です。

ただ、この方法は私でもめんどくさと思う作業なので(ハマる人は楽しい作業だと思いますが)、最終手段に留めておく方がよいと思います……。

今はコスプレ用の型紙も多く販売されているので、こちら↓の記事を参考に色々なところで型紙を探してみて下さい。


まとめ

  • 型紙改造をするなら、初心者の内は型紙を複数用意する
  • 面倒だからって横着してショートカットを狙わない
  • 参考にしたい型紙がない時は立体裁断の真似事をしてみる

以上、型紙改造の方法について、ざっくりとですがまとめてみました。まとめきれている自信がありません。

こうして記事にしてまとめてみると、思ったよりも自分が衣装製作慣れしていて、体で覚えていることを無意識にやっているということを思い知らされます。

この記事を読んでも「オメーの言っていることが一切わからねえ」という方も多いかと思いますので、もし何かあればこちらからどうぞ……。

最後までお読み頂きありがとうございました。